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走って、走って。 目の前の角を曲がった先、そこに合流予定の者達がいると思い込んでいた。 なぜか?自分でもわからない。 角を越え、その勢いのまま口を開く。 「2人とも待たせてすまなかったな、さぁゆるりと参ろうか」 … ああ恥ずかしい。 口を開けたまま固まった私の眼前には、ただ風だけが舞っていた。 穴があったら…! (マルメロはとにかく隠れるを修得した) この先の扉を出て、砂地に出れば今度こそ合流だ。そのはずだ。 今度は慎重に進もう。 また一つ成長した、そんな気がする上陸5日目の夕暮れだった。
普段はまとまりのない洋服をあわせているが、 正装時やその時の気分で、どこに属するかよく分からない装いになることも。 ひっそりとファンタジー畑の住人。 ちなみにこの服は、母親の服を参考にしつつ父親が縫い上げたもの。 親子揃って指先を動かすのが生きがい。ちくちく、幸せ。
誰も、いなかった。 やるせない気持ちを抱えて、新たなコミュ参加者に向けてメッセージをこつこつ書き込む。 私は深い森の奥で育ち、人の集まる空間に殆ど出たことがなかった。 だから話し相手といえば物言わぬ木、花、虫、動物達ばかりだった。 それが今は、私の言葉を理解してくれるものが周りに沢山いる。 話しかけてみたくなるのも当然じゃないか。 … そんなわけで、これからも新規参加者全員に歓迎メッセージを送っていくつもりでいる。 ひ、人恋しさからの反動などではない。 しかし、相手の負担になっておらねばよいのぉ。 それだけが不安だ。
簡単な準備と心構えだけで挑んだ探索は、やはり厳しいものとなった。 道をふさぐ野良犬をなだめ、再び遺跡外へと踵を返す。 まだ遺跡に入ってから2日だというのに、既に服も体も傷だらけだった。 「いやはや。これは私一人じゃ絶望的かのぉ…ぬ」 足元を走り回るムカデから目を外したところで、ふと前方の人だかりに気がつく。 「これは一体?」 近寄ってみると、人々は皆例外なくそこにある何かを見ているようだった。 真剣な眼差しを追う。 「はて、掲示板か!」 皆の視線の先には武器や防具の作成請負、 そして仲間募集の貼り紙がところせましとクリップされていた。 「うむ、確かに防具は欲しいのぉ。武器も…出来れば替えた方がよさそうか」 そして 「仲間募集…」 声に出したとき、少しドキリとした。 唾を飲み込み、そして小さく頷く。 「よし」 決意の表情で、再び食料確保に向かう。 また遺跡探索の日々となるのだ。出来るだけ買い込まねばなるまい。 「…でも結局、パンくずと草、か。ふふふ…」 笑いを勘違いしたムカデが、嬉しそうに体をくねらせた。