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出遅れてしまったようだが、ようやく遺跡へと足を踏み入れた。 ”遺跡”という響きから何か特別な空間を予想していたが、 あふれる木漏れ日と髪を揺らす爽やかな風は、 私の故郷を思い起こさせた。 「これなら楽しく探索を進められるかも…」 ほっと小さく息を漏らし、歩を進める。 それからどのくらい歩き続けただろうか。 腹の虫が騒ぎ出したため、 休憩がてら、外で恵んでもらったパンくずをほおばる。 …しかし貧乏人の身で文句は言えないが、矢張り満腹には程遠い。 「もう一つ食べてしまおうかのぉ。…ぬ?」 荷袋へと伸ばした手の先に、何かうごめくものが触れていた。 背筋をゾワゾワゾワと冷たいものがかけあがる。 恐る恐る手元に目をやり、ソレの姿を確認したところで、 反射的に「ひっ」と掠れた悲鳴が漏れ出た。 指先にはムカデがちょこんと身構え、こちらへと睨みをきかせていた。