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いつものように目覚め、いつものように装飾品の手入れを始め、 機嫌よく鼻歌を歌っているところにその手紙は届いた。 深い森の中に一軒だけ佇む我が家を、差出人はどうやって探し出したのか。 おそらく不特定多数に送られているであろうその手紙の文面も、 また怪しさに満ち満ちていた。
「ま、気にせぬが吉かの…」 眉をひそめ放り捨てた手紙は、見事手入れ済みの装飾品に突っ込んだ。 「あぁ、大切な宝物たちがっ」 あわてて手紙をい拾い上げ、憎しみをこめて握りつぶそうとしたところで、 はたと手が止まった。
いや、視線がとまったのだ。 ちらりと見えた文面の「財宝」「宝玉」という言葉に。
目の前の装飾品を眺め、そして手紙を再び見つめ、 小さくつぶやく 「飾り物も、手に入るんかのぉ」
詳しいことはまったくわからないが、手紙によると”パーティ”だという。 それならばとりあえず出かけてみて、 変な勧誘や押し売りが始まったところで逃げ出せばよいのではないか。 もし本当に綺麗な装飾品、細工物が手に入れば、もうけもの……
だんだんと顔がにやけ、思考も適当になってくる。 もし本当に何か凄い宝物が待っているとして、出遅れたせいでそれが手に入らなくなるのは悔しい。
「うむ。どうせ暇だし、だまされたつもりで行ってやらないことも…」
いそいそと支度を始める。
「ペンダントー、鏡ー、蜀台ー、キラキラ~、細工品~♪」 浮かれた鼻歌が、再び青空へと溶け出した。 まだ見ぬ島への不安はよそに、ただ期待をのせて。