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(日付のみ記されたページ。だが目を凝らしてみると、 見開きに挟まる小さな貝の欠片が、多数確認できる)
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夜。 山は静かな眠りの世界に、ゆったりと横たわっていた。
そしてその麓。 少女の姿を象ったサンドジェリーが、 月の光をうっすらと反射させながら歩き回っている。 ふわふわ、と表現するべきだろうか。 地に足が付いていないような、不安定な歩みだ。 彼女は静かに静かに歩いて、時々何かをひょいっと拾い上げていく。
そこから、然程遠くない野営地。 寝袋に包まる男の寝顔には、輝く白い粉がまとわりついていた。 見渡せば辺りにも、キラキラと輝くものが散らばっている。 拾いあげてじっくり眺めれば、 かろうじて、それが元は貝殻であったことがわかるかもしれない。
寝袋に包まる男の寝顔は、そうした貝の残骸に囲まれていても、 顔に汚れを付着させていても、幸せに満ちていた。
静かに、静かな夜が続く。