[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
まだ夜も明けきらないうちに、クインスは簡素な寝床を滑り出た。 白々とした陽が眼に届く前に、さっさと顔を洗ってしまいたかったのだ。 他の3人の眠りを妨げないよう、息を潜めるようにそっと足を踏み出し… そしてふと、昨夜の出来事を思い返す。 振り返り、野営地にくすぶる火の横へ視線をやると、静かな瞳で見返すジャファルの姿があった。 軽く会釈すると、僅かな微笑と会釈が戻ってくる。 『やはり彼は、眠らずに…』 ぼんやりと考える。 昨夜少しだけ交わした会話、その中で一瞬だけ見せた瞳─遠くを見つめるような表情が、 なぜだかクインスの脳裏に焼きついていた。 幾度となくめぐり来る静かな夜、彼は何を思って過ごしているのだろう。 『一体過去に何が……などといった詮索は、下世話でしょうね』 頭をもたげようとしていた好奇心を追い払い、そのまま静かに野営地を離れる。 ------ クインスはジャファルのことを殆ど知らない。 いや、ロジュのことも、クニーのことも。 人波の中、ぼんやりと休憩していたクインスに声をかけてくれたのが、エルフのクニーだった。 「一緒に行かないか」 シャープな体躯、飄々とした雰囲気、そして少しそっけなくも思える言葉。 それは話に聞いたエルフそのもので、クインスはひっそりと感動したものだ。 だが突然のことに、なかなか返事は喉から上がってこなかった。 そんな戸惑っていた心を、一度に解きほぐしてくれたのがロジュだった。 「ロジュだ、よろしくな!」 笑ってこちらにやってきた少女は、あちこち包帯に巻かれた痛々しい姿ながら、しかしとても眩しく… まともに見たことのない太陽を直視した気持ちになり、髪に隠された目を、つい細めてしまった。 夜の生き物が光に向かい、火にとびこむように。 出来ることなら共に歩いてみたい、この瞬間そう思ったのだ。 ジャファルは…… 「ジャファル。彼は…夜。」 水音を探り歩きながら、ふいにクインスは呟いた。 全身に施されたボディペイント、常に共にある2人、 外見の差異から兄妹や親子には見えないが、彼はきっとロジュと同胞なのだろう。 だが2人の持つ空気はまるで正反対だった。 彼は、静かな夜。 夜の奥に何が潜むものか─ 思考はそこで止まる。 クインスは、穏やかなせせらぎを奏でる川辺へたどり着いていた。 無言のまま腰のポーチから紐を取り出すと、量の多い髪を1つに纏める。 さらされた瞳に、顔をもたげてきた朝の光が突き刺さるようだ。 眉をひそめながらそっと水をすくい、顔を洗い流していく。 体温の低い指先には温く感じた水だったが… 「ああ。顔に触れると、流石に冷やりとしますね」 だが、まとわりつくような朝の空気、そして余計な考えを払うには丁度良い冷たさだった。 触角まで水で洗い終えると、クインスはやっと髪を下ろし、”ほう”と一つ息をつく。 「さあ、そろそろ皆も起きるころでしょうか」 ブリキの缶に水を汲みいれ、元の野営地へと引き返す。 その足取りは、いつもと変わらず静かで、そして緩やかだった。
何とか書き上げていた日記ですが、先ほど読み直して、やっぱり書きなおそうと思い立ちました。 徹夜で書いた日記は危険です。 コミュメッセの宣言もあるし、何より文字を打つのが激しく遅いので、 締め切りの遅れが大きくなるとありがたいなぁと思いつつ。 まぁ、8割方間に合わないとふんでいます。 締め切りに間に合うかどうかに関わらず、 後ほどこの記事は日記で上書きします。 ---(01:20追記)--- やはりと言うべきか、間に合いませんでした。 公式topを見ると13分締め切り…うわぁ惜しい! 日記は上書きしました。見直していないので、多分また弄ります。 ロジュさん、クニーさん、ブログでこっそりと借りてしまいすみません。そしてありがとうございます。