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どうやらこの遺跡には、野生のウサギも出没するらしい。 ウサギかぁ… ふわふわのもこもこのふっかふかなのかのぉ… 試しにペンを走らせてみたけれど、ウサギの骨格ってどんなだったか? この先出会えたら、じっくり観察してみよう。
食料も心もとないし、もう少し進んだら一旦外へ出る予定だ。 そろそろ力を入れて探索をすすめてみよう。 そしてキラキラ宝の山を……ふふふ
出遅れてしまったようだが、ようやく遺跡へと足を踏み入れた。 ”遺跡”という響きから何か特別な空間を予想していたが、 あふれる木漏れ日と髪を揺らす爽やかな風は、 私の故郷を思い起こさせた。 「これなら楽しく探索を進められるかも…」 ほっと小さく息を漏らし、歩を進める。 それからどのくらい歩き続けただろうか。 腹の虫が騒ぎ出したため、 休憩がてら、外で恵んでもらったパンくずをほおばる。 …しかし貧乏人の身で文句は言えないが、矢張り満腹には程遠い。 「もう一つ食べてしまおうかのぉ。…ぬ?」 荷袋へと伸ばした手の先に、何かうごめくものが触れていた。 背筋をゾワゾワゾワと冷たいものがかけあがる。 恐る恐る手元に目をやり、ソレの姿を確認したところで、 反射的に「ひっ」と掠れた悲鳴が漏れ出た。 指先にはムカデがちょこんと身構え、こちらへと睨みをきかせていた。
いつものように目覚め、いつものように装飾品の手入れを始め、 機嫌よく鼻歌を歌っているところにその手紙は届いた。 深い森の中に一軒だけ佇む我が家を、差出人はどうやって探し出したのか。 おそらく不特定多数に送られているであろうその手紙の文面も、 また怪しさに満ち満ちていた。
「ま、気にせぬが吉かの…」 眉をひそめ放り捨てた手紙は、見事手入れ済みの装飾品に突っ込んだ。 「あぁ、大切な宝物たちがっ」 あわてて手紙をい拾い上げ、憎しみをこめて握りつぶそうとしたところで、 はたと手が止まった。
いや、視線がとまったのだ。 ちらりと見えた文面の「財宝」「宝玉」という言葉に。
目の前の装飾品を眺め、そして手紙を再び見つめ、 小さくつぶやく 「飾り物も、手に入るんかのぉ」
詳しいことはまったくわからないが、手紙によると”パーティ”だという。 それならばとりあえず出かけてみて、 変な勧誘や押し売りが始まったところで逃げ出せばよいのではないか。 もし本当に綺麗な装飾品、細工物が手に入れば、もうけもの……
だんだんと顔がにやけ、思考も適当になってくる。 もし本当に何か凄い宝物が待っているとして、出遅れたせいでそれが手に入らなくなるのは悔しい。
「うむ。どうせ暇だし、だまされたつもりで行ってやらないことも…」
いそいそと支度を始める。
「ペンダントー、鏡ー、蜀台ー、キラキラ~、細工品~♪」 浮かれた鼻歌が、再び青空へと溶け出した。 まだ見ぬ島への不安はよそに、ただ期待をのせて。
日々を記録するため、そして探索の合間の落書き用に、 一冊のノートを用意した。 気が向いた時、ちょこちょこペンを走らたいと思う。