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むせ返るほどの、草と大地の匂い。 なぜか背面全体に掛かる重み、そしてひんやりとした感触。 「…あれ。俺、草っ原で寝てたっけ?」 緩い意識のまま、クインスは目を開けた。 とたんに、待ってましたとばかりに日の光が射し込み、慌てて手で目を庇う。 本来、クインスの目は非常に光に弱い。 そのため日の光などを直接目にすれば、激痛に襲われる──はずだった。 だからこそ反射的に身を固くしたものの、 今回に限ってはなぜか鈍い痛みがやってきたそれきりで、 追い討ちをかけてくるものはなかった。 暫し逡巡の後そっと手をのけてみても、瞼越しの光は至極優しい。 緊張を解き、起き上がったクインスは再びそっと目を開く。 流石に痛みはあるが、耐えられないほどのものではない。 一つ息を吐き辺りを見回せば、 冬だというのに草地のそこらじゅうに、花が咲き乱れていた。 「一体、なにごとだ?」 首を傾げた拍子、肩にかかった自分の髪がさらりと流れる。 そこでクインスはようやく気がついた。 自身の髪が随分と短く、黒くなっていることを。 それだけではない。 とてつもない違和感。何か、重大な何かが自分に起こっているような… だがクインスはそこで思考をとめ、大きく伸びをした。 「まあいいか。なんか元気になったし、目はすこぶる調子いいし。 ってかそうだ俺倒れたんだった! …うわー。ドレスコードのために用意した服、汚れちまってないかなあ」 ぶつぶつ呟いて服をチェックするクインスの元へ、 濡れタオルを抱えたポポが駆け寄ってくる。 島へきて71日目、まだ昼を迎える前の出来事であった。